「また作りたい。」その一歩が踏み出せませんでした
プラモデル売り場で、一つの箱を手に取ったまま立ち止まっていました。
約20年ぶりのことです。
「また作りたい。」
その気持ちは、確かにありました。
でも、すぐにはレジへ向かえませんでした。
頭の中で繰り返していたのは、一つのことでした。
「買っても、中途半端にならないかな。」
仕事があります。
家族との時間もあります。
趣味だけに何時間も使える生活ではありません。
昔のように夢中になれなかったらどうしよう。
途中で箱を閉じたままになってしまったらどうしよう。
そんなことを考えているうちに、20分ほど売り場に立っていました。
今思えば、迷っていたのはプラモデルを買うことではありません。
今の自分でも、趣味を続けられるのか。
その答えが見えなかったのです。
それでも最後は、一台だけ抱えて帰りました。
ランボルギーニ アヴェンタドール。
あの日の20分が、もう一度「好き」と向き合う始まりになりました。
変わったのは趣味ではなく、私の暮らしでした

家に帰って箱を開けると、懐かしい気持ちが一気によみがえりました。
説明書をめくる。
ニッパーを握る。
一つずつパーツを切り出していく。
少しずつ形になっていく時間は、20年前と変わらず楽しいものでした。
「やっぱり好きだったんだ。」
そう思いました。
でも、一つだけ昔と違うことがありました。
時計を見るようになったことです。
子どもの頃は、時間を気にしたことなんてありませんでした。
学校から帰れば机に向かい、休日も完成するまで夢中で作る。
趣味が一日の中心でした。
でも今は違います。
夕飯があります。
家事があります。
家族との時間があります。
自分の好きなことだけに、何時間も使える暮らしではありません。
変わったのは、プラモデルではありません。
私の暮らしでした。
昔と同じように楽しもうとしていました
最初の頃は、少しでも時間があると先へ進めたくなりました。
「あと一工程だけ。」
「ここまで終わらせたい。」
そう思っていました。
でも、時計を見るたびに現実へ戻ります。
夕飯の時間。
家事の時間。
家族と過ごす時間。
趣味だけを優先できる生活ではありません。
そのたびに、少し残念な気持ちになっていました。
でも、ある日気付きました。
私は、昔と同じ楽しみ方を探していたのです。
子どもの頃と同じ時間は、もうありません。
暮らしが変わったのだから、楽しみ方も変わっていい。
そう考えるようになりました。
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「今日はここまで。」そう決めた日から変わりました

それから私は、一つだけルールを決めました。
「今日はここまで。」
趣味にも、やることにも区切りをつける。
限られた時間の中で、無理なく楽しめるところまで進める。
そう考えて箱を閉じるようになりました。
最初は物足りなく感じました。
でも、不思議なことが起こりました。
箱を閉じるたびに、
「続きはまたやろう。」
そう思えるようになったのです。
途中で終わることは、失敗ではありませんでした。
次に箱を開ける楽しみが残っているということでした。
完成を急がなくなると、趣味との付き合い方も少しずつ変わっていきました。
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完成よりも、続けられることの方が大切でした
子どもの頃は、完成することが一番の目標でした。
でも、大人になってからは少し違います。
説明書を読む時間。
パーツを切り出す時間。
少しずつ形になっていく時間。
そして、「今日はここまで」と箱を閉じる時間。
その一つひとつが、趣味の時間でした。
完成することだけが楽しさではない。
自分の暮らしに合った形で楽しめることにも、意味がある。
プラモデルを再開したことで、そんなことに気付きました。
あの日、20分迷った理由が分かりました
20年ぶりに買ったアヴェンタドールは、すぐには完成しませんでした。

塗装まで仕上げたいと思っていたこともあり、きちんと作業できる環境が整ってから続きを進めようと考えていたからです。
以前の私なら、
「まだ完成していない。」
と焦っていたと思います。
途中で止まっていることを、中途半端だと考えていたかもしれません。
でも、この一台をきっかけに気付いたことがあります。
趣味は、ずっと同じ熱量で続けなくてもいい。
暮らしが変われば、楽しみ方が変わってもいい。
興味を持つものが変わることだってあります。
大切なのは、昔と同じように続けることではなく、そのときの自分に合った形で「好き」と付き合うことなのだと思います。
あの日、売り場で20分迷っていた私は、「完成できるか」を心配していました。
でも、本当に必要だったのは違いました。
続けられる形を見つけること。
それだけだったのです。
そして私の場合、その後に大きかったのが、「すぐ始められる環境」をつくったことでした。
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おわりに|昔と同じように楽しめなくてもいい
あなたにも、
「またやりたい。」
と思いながら、遠ざかってしまった好きなことはありませんか。
もし思い浮かぶものがあるなら、昔と同じように始めなくてもいいのだと思います。
10分でもいい。
30分でもいい。
毎日続けなくてもいい。
そして、しばらく離れることがあってもいい。
暮らしは少しずつ変わります。
使える時間も、興味を持つものも変わっていきます。
だから、好きなこととの付き合い方も変わっていい。
私にとって、それに気付くきっかけになったのが、20年ぶりに手に取った一台のプラモデルでした。
昔と同じようには楽しめませんでした。
でも、それは「楽しめなくなった」ということではありません。
今の暮らしに合った、新しい楽しみ方を見つけるきっかけになりました。
これからも、何かを無理に続けるのではなく、そのときの暮らしに合った「好き」と付き合っていきたいと思っています。
次に読むなら
プラモデルを再開したあと、「時間がない」よりも大きな問題だったのが、始めるまでの準備でした。
小さな机を趣味の場所に変えた経緯を書いています。

